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抜歯について
2018.11.28
こんにちわ。
今回は抜歯についてのお話です。
抜歯は、歯にとっての最終処置ですので当医院でも各種検査を行い、慎重な診断をしております。治療技術などの進歩によって歯を保存できる可能性は以前よりは増しましたが、それでも保存不可能である歯や、歯の存在自体が他の歯やかみ合わせの障害になる場合は抜歯の適応になります。色々な状況があるとは、思いますが主に抜歯の適応になるのは以下のような状況です。
《抜歯の適応症》
①虫歯が大きく、どのような修復処置をしても保存不可能な歯
②歯根の吸収が著しく、動揺が大きい歯
③歯の根の治療を行っても保存不可能と思われるくらい根の病巣が大きな歯
④重度の歯周病で歯を支えている骨の吸収が大きい歯、又それにより動揺が大きい歯
⑤歯や歯の根が割れていて修復および保存が困難と思われる歯
⑥隣の健全な歯や歯肉に障害を及ぼしたり感染の原因となる可能性のある埋伏歯(骨や歯肉の中に埋まっている歯)
⑦顎の骨の骨折線上にあって骨折の治癒に障害となっている歯
⑧被せ物や義歯などのホテツ処置の為に抜歯が必要な歯
⑨矯正治療のために抜歯が必要な歯
⑩永久歯(大人の歯)への生え変わりの妨げとなっている乳歯
⑪歯が原因の病巣感染の原因となっている歯
⑫歯が原因の顎炎の原因歯で再発の恐れのあるもの
⑬悪性腫瘍に接触しそれを刺激している歯
⑭口腔悪性腫瘍の放射線治療の際して障害となる歯
しかしながら、抜歯が必要であっても、他の内科的疾患などで麻酔や止血が困難であったり、解剖学的に困難な症例においては専門医への紹介をお願いすることがあります。以下のような方は、注意が必要です。コンサルにておうかがいをしておりますが、事前にお話いただけるとありがたいです。
全身的・局所的禁忌症(抜歯をするのに要注意な方、当院では抜歯が困難な可能性がある方)
(1)循環器疾患
1.虚血性心疾患・・・狭心症、心筋梗塞など
心筋梗塞の場合:発作後6ヶ月以内の抜歯は禁忌
狭心症の場合:ニトログリセリン投与でも効果が出にくい
2.弁膜症や心内膜炎
術前術後の抗生剤投与が必要
人工弁置換術をした方:抗凝固剤(血の流れをyぽくする薬)により止血しにくい
3.先天性心疾患
生まれつき心臓に奇形がある方・・・心房中隔欠損や心室中隔欠損、肺動脈狭窄
心不全の状態がなければ抜歯は可能だが、術前からの抗生剤投与が必要
4.高血圧症
165/95mmHg以上の方(WHO基準)
動脈硬化が進行し、脳や心臓、腎臓に合併用があり抜歯中の血圧の変動で障害が残る可能性がある方
(2)血液疾患
白血病、血小板減少症、血小板無力症、血友病、無フィブリノーゲン病など
→抜歯は専門医の協力の下全身的な止血管理が必要
(3)糖尿病
未治療のまま放置されている方、コントロールが不十分な方な要注意
→糖尿病性昏睡、低血糖性ショック、急激な血糖値の上昇
→抜歯部の治癒能力や感染力の低下のために術前の抗生剤投与の必要性
(4)肝臓および腎疾患
重度肝障害→出血傾向あり
血液凝固因子(血液を固める因子)のほとんどは肝臓で作られているため
腎不全・・・人工透析中の方など
→強い出血傾向がある
→傷の治癒能力、感染力低下
→術前術後の抗生剤投与が必要だが腎の排出量が低下している為更に要注意
(5)妊娠
妊娠初期(2~3ヶ月)では流産の危険がある
妊娠後期(8ヶ月以上)では早産の危険がある
→産婦人科に確認・了承をえてから安定期(5~8ヶ月)に行う
(6)月経
月経時には、精神不安定となることが多く、血が止まりにくかったり治りにくいことがある。歯肉の血行が増加し血管が脆くなりやすいとも言われている。
→あえてこの期間に抜歯する必要がなければ避けたほうが望ましい
(7)精神疾患
パニック症候群やうつ病など
→かかりつけ医への確認が必要です
(8)骨粗しょう症
治療薬の種類や治療方法、期間により顎の骨に炎症又は壊死が見られることがありますので、かかりつけ医への確認が必要な場合があります。
(9)急性炎症
急性症状の拡大や、ドライソケットになりやすい
(10)悪性腫瘍
悪性腫瘍の中にある歯の抜歯は、腫瘍の増大や転移の危険性がある
(11)その他
抜歯をするにあたっては、多少なりとも緊張や不安はあると思います。不安な方は些細なことでも結構ですのでご相談ください。
これからの健康な食生活のために、やむを得ない処置であることをご理解いただき、
今後は残った歯を出来る限り大切にし、QOLを向上させていきましょう!